「本当は嫌」と言えない|アダルトチルドレンが本音を飲み込んでしまう理由と伝え方

「本当は行きたくない」

「今日はもう疲れている」

「できれば、これはやりたくない」

自分の気持ちは分かっている。
それなのに、相手を目の前にすると言えない。

そして口から出てくるのは、

「いいよ」
「大丈夫」
「やります」

という、自分の本音とは違う言葉でした。

私も以前は、本音が分からなかっただけではありません。

「本当は嫌だ」と分かっているのに、言えないことが何度もありました。

相手の機嫌や、その場の空気を気にするほど、
自分の気持ちを後回しにしてしまう。

そんな経験を重ねてきた方にとって、
本音を伝えることは簡単ではありません。

でも、本音を伝えることは、
自分の希望を押し通すことではありません。

相手の気持ちだけを優先せず、自分の気持ちも伝えたうえで、一緒に考えることです。

この記事では、私自身の体験から、
本音を飲み込んでしまう理由と、強く主張しなくても自分の気持ちを伝える3つの方法をお話しします。

「料理が苦手です」の一言すら言えなかった

私はもともと、料理を作ることがあまり得意ではなく、
自信もありませんでした。

結婚後、夫の実家へ行った時のことです。

まだ勝手もよく分からない場所で、
夫のお母さんから「料理を作って」と言われました。

私は内心、

「嫌だな」
「料理は苦手なのに」
「ここで一人で作るのは怖い」

と思っていました。

本当は断りたかったのです。

それでも私は、

「はい」

と言いました。

今考えれば、

「料理が苦手なので、一緒に作ってもらえますか?」

と伝えることもできました。

料理そのものを完全に断らなくても、
助けてもらう方法はあったのです。

でも当時の私には、
その一言すら言えませんでした。

慣れない台所でもたもたしながら、
不安でいっぱいになっても、

「何とかして私がやらなければ」

と考えていました。

自分が嫌だと思っていることより、
相手の期待に応えることの方が優先されていたのです。

本音より「その場の空気」を守っていた

似たことは、人付き合いでも何度もありました。

息子の習い事のお母さんたちと、

「みんなでキャンプに行こう」

という話になった時のことです。

周りは、

「いいね!」
「楽しそう!」

と盛り上がっていました。

でも私は、どうしても行きたくありませんでした。

それなのに、

「私は行きたくない」

とは言えません。

私一人が違うことを言ったら、
せっかく盛り上がっている雰囲気を壊してしまう。

みんなを白けさせたら申し訳ない。

そんなことばかり考え、
その場では私も「いいね」と合わせました。

ところが家に帰ると、
やはり行きたくありません。

結局、あとになって断ることにしました。

同じことは一度ではありませんでした。

友人との予定でも、職場で山登りに行こうという話になった時も、
その場では周りに合わせて賛成する。

そして一人になってから、

「やっぱり嫌だ」

という自分の気持ちが大きくなり、
あとから断る。

私はそれを何度も繰り返していました。

▼「嫌われたくない」「相手を困らせたくない」と合わせ続けていた頃のことは、こちらの記事でも書いています。
「いい人」でいることが当たり前だった|嫌われないために合わせ続け、自分がわからなくなった話

なぜアダルトチルドレンは本音を言えなくなるのか

では、なぜ私は「嫌だ」と分かっているのに、
言えなかったのでしょうか。

子どもの頃から周りの顔色や機嫌に敏感になってきた方は、
自分の気持ちより相手の反応を先に考えることがあります。

「私はどうしたい?」

より、

「これを言ったら相手はどう思う?」

が先に浮かぶのです。

私もそうでした。

相手が不機嫌になること。
その場の空気が悪くなること。
人と意見が違うこと。

そうしたことに、
とても強い不安を感じていました。

たとえばキャンプの話でも、

「私は行きたくない」

という自分の気持ちより、

「私が断ったら、みんなはどう思うだろう」

という不安の方が大きかったのです。

だから、「私は嫌だ」と言うだけでも、
大きな決断のように感じていました。

でも、本来は意見が違うことと、
関係が壊れることは同じではありません。

「あなたは行きたい」
「私は行きたくない」

それだけの違いなだけです。

アダルトチルドレン傾向のある方にとって、
本音を言えないのは、伝え方がわからないからだけではありません。

相手の機嫌や反応を気にして、
自分の気持ちを後回しにしてきた。

長い間身につけてきた、
人との関わり方そのものが関係していることもあるのです。

▼相手の表情や機嫌を気にしすぎてしまう背景については、こちらの記事で詳しく書いています。
親の顔色を見て育った人が、今も相手の機嫌に敏感になる理由

相手を困らせないつもりが、あとで困らせていた

当時の私は、

「その場で断らないことが、相手への配慮」

だと思っていました。

その場では、雰囲気を壊さずに済みます。

けれど後日キャンセルすれば、
相手は予定を変更しなければならないかもしれません。

私は私で、

「断って悪かったかな」
「嫌な人だと思われたかな」

と、さらに気にします。

最初から、

「私は今回はやめておくね」

と言えていた方が、後からぐるぐる考える必要もなく、
お互いに分かりやすかったはずです。

本音を飲み込むことが、必ずしも相手への優しさになるわけではありませんでした。

このことに気づくまで、
私はかなり時間がかかりました。

「今日はご飯を作りたくない」も言えなかった

家族との間でも同じでした。

家族旅行から帰る途中、疲れているので、

「今日はもう食事を作りたくない」

と思うことがありました。

私は、

「フードコートで食べて帰りたいな」

と思っていました。

でも夫は、フードコートのようなガヤガヤした場所で
食事をするのがあまり好きではありません。

そのため、

「ここで食べて帰りたい」

と言ったら嫌な顔をされるかもしれない。

機嫌が悪くなるかもしれない。
喧嘩になるかもしれない。

そんなことを考えると、
自分の希望を言えませんでした。

夫が「家に帰ろう」と言えば、
そのまま帰る。

そして疲れたまま、
家で食事を作っていました。

本当は、

「今日は疲れているから、ここで食べて帰りたい」

と言ってよかったのです。

本音を飲み込むほど、自分だけが苦しくなる

以前の私は、相手との衝突を避けるために
本音を飲み込んでいました。

でも、飲み込んだ気持ちは消えてくれません。

「本当は嫌だった」
「本当は休みたかった」
「本当は助けてほしかった」

そんな思いが、
ずっと自分の中に残ります。

無理をした分だけ疲れたり、
あとから相手に不満を感じて、イライラすることもありました。

察してくれないのが許せないと思ってしまっていました。

一方で、相手には何も伝えていません。

相手からすれば、

「大丈夫だと思っていた」

となることもある。

これは当然です。

私が「大丈夫」と言っているのですから、
本当の気持ちは相手には分かりません。

だからこそ今は、

本音を伝えることは、自分を大切にするだけではなく、相手に自分を知ってもらうことでもある

と考えています。

それは、コミュニケーションを円滑にするためには、とても大切なことなのです。

本音を伝えることは、強く主張することではない

以前の私は、

「相手に合わせる」

か、

「きっぱり断る」

くらいしか選択肢がないように感じていました。

でも、本音の伝え方には、
その間がたくさんあります。

料理なら、

「料理が苦手なので、一緒に作ってもらえますか?」

キャンプなら、

「キャンプは少し苦手だから、今回はやめておくね」

食事なら、

「今日は疲れたから、私はここで食べて帰りたいな」

と言うこともできます。

本音を伝えるとは、

自分の希望を何としても通すことではありません。

「私はこう感じています」

という情報を、相手に渡すことです。

自分の気持ちが分かれば、
相手も初めて、

「じゃあ、どうしようか」

と一緒に考えることができます。

本音を少しずつ伝えるための3つの方法

1.すぐに「いいよ」と答えない

本当は嫌だと思っていても、
相手を目の前にすると反射的に、

「いいよ」
「大丈夫」
「やります」

と言ってしまうことがあります。

そんな時は、
その場ですぐにYESと言わなくても構いません。

「少し考えてもいい?」
「予定を確認してから返事するね」

と、一度返事を保留にすることもできます。

まずは、本音とは違う返事をしないための時間をつくること。

すぐに断れなくても大丈夫です。

考える時間があれば、

「私は本当はどうしたい?」

と、自分に確認できます。

それだけでも、あとになって苦しくなったり、
断り直したりすることを減らせます。

2.自分がどう感じているかを伝える

いきなり、

「嫌です」
「やりたくありません」

と断るのが難しいなら、
まず自分がどう感じているのかを伝える方法があります。

いわゆる「Iメッセージ」です。

たとえば、

「料理は苦手だから、上手にできるか不安なんです」

「キャンプは虫が苦手で……」

「今日はもう疲れてしまって、料理するのが負担なんだ」

というように伝えます。

ポイントは、

「あなたが悪い」ではなく、「私はこう感じている」と伝えることです。

以前の私は、自分の気持ちを伝える前に、
相手がどう思うかばかり考えていました。

でも、自分の感じていることを言葉にしなければ、
相手には分かりません。

本音を伝えることは、
相手を責めることではありません。

まず、自分の今の状態を
知ってもらうことでもあります。

3.自分の願いを伝え、相手の答えも尊重する

自分の気持ちを伝えたら、次に、

「私はどうしてほしいのか」

を言葉にしてみます。

たとえば、

「一緒に作ってほしい」

「キャンプは苦手だけど、別の集まりならまた誘ってね」

「今日は料理がつらいから、お惣菜を買って帰ってもいい?」

というように、自分の願いを伝えます。

ここが一番難しいところです。

本音を伝えても、

「それは嫌だ」

「私はこうしたい」

と相手に断られることがあります。

でも、それは本音を言ったことが間違いだったという意味ではありません。

たとえば、

「フードコートで食べたい」

と伝えても、

「僕はフードコートは嫌だ」

と言われるかもしれません。

でも、そこで終わりではありません。

「じゃあ、お惣菜を買って帰ってもいい?」

「コンビニに寄ろうか?」

「家にあるもので簡単に済ませるから、作るの手伝ってくれる?」

と、次の話ができます。

フードコートで食べるか、
私が家で料理をするか。

本当は、その二択しかなかったわけではありません。

自分の気持ちを伝えることで、初めて第三の選択肢を一緒に考えられます。

相手に受け入れてもらうことが、
本音を伝える目的ではありません。

自分には、

「私はこうしたい」

と言う権利があります。

同じように相手にも、

「私はこうしたい」

と言う権利があります。

だから、本音を伝えることは、
自分の希望を押し通すことではありません。

「私はこうしたい」と伝えたうえで、相手がどうしたいかも聞くことです。

そして、お互いの希望が違えば、

「じゃあ、どうしようか」

と次の方法を探していくことです。

本音を伝えると、我慢以外の選択肢が見えてくる

以前の私は、その場の空気を壊さないことを優先し、

「いいよ」
「大丈夫」

と、自分の気持ちとは違う返事をしていました。

でも、本音を言わなかったからといって、
嫌だという気持ちがなくなるわけではありません。

我慢した分だけ苦しくなったり、
ぐるぐる考えてあとになって断ったり、相手に不満を感じたりすることもありました。

振り返ると、

私は相手の希望ばかりを優先して、自分がどうしたいかを伝えていなかったのだと思います。

相手がどうしたいかは大切にする。

でも、自分がどう感じているかも
同じように伝えていい。

本音を伝えても、
希望が通るとは限りません。

それでも、

「私はこう感じている」
「私はこうしたい」

と伝えることができれば、
自分の気持ちをなかったことにせずに済みます。

そして、お互いの希望が違えば、

「じゃあ、どうしようか」

と話し合うことができます。

本音を伝えることは、
わがままを通すことではありません。

相手を変えることでもありません。

自分がどうしたいかも、相手に伝えていい。

そのために、まずはすぐに「いいよ」と答えず、
自分の気持ちを確かめる時間をつくる。

次に、

「私はこう感じている」

と、自分の気持ちを伝えてみる。

そして、

「私はこうしたい」

と願いを伝えながら、
相手がどうしたいかも聞いてみる。

最初から、すべてを上手に言える必要はありません。

まずは、自分の気持ちとは違う「大丈夫」を言わないことからでも始められます。

自分の気持ちと相手の気持ちを両方伝えたうえで、
その先を一緒に考えていくこと。

それが、私にとって
「本音を飲み込まない」ということなのだと思っています。

▼『伝える以前に、自分がどうしたいのか分からない』という方は、こちらの記事も参考にしてください。
自分を認められないのはなぜ?|私がネガティブな感情を受け入れて本音を知る3つの手順

気軽に話したい方へ|「ちょっと話そ♪」

記事を読んで、

「私も、いつも相手に合わせてしまう」
「本当は嫌なのに、なぜ言えないんだろう」

そんなことを少し話してみたくなったら、
気軽にお電話ください。

相談としてまとまっていなくても大丈夫です。

愚痴でも、ちょっとした疑問でも、
「自分のこの生きづらさって何だろう?」というお話でも構いません。

「ちょっと話そ♪」は、1分から気軽に話せる電話相談です。

ただ聞いてほしい時は、
そのままお聴きします。

必要であれば、お話を整理したり、
状況に応じて一緒に考えたりすることもできます。

「誰かにちょっと話したい」

そんな時の入口として、使ってください。

▶「ちょっと話そ♪」電話相談で話してみる

ちょっと話そ♪あなたのお話ママがなんでも聞きます モヤモヤ・疲れた・愚痴でもなんでも✨ゆるっとおしゃべり

じっくり整理したい方へ|ビデオチャット

「なぜ私は本音を言えなくなるんだろう」

「相手の顔色を気にしてしまう理由を、もう少し深く整理したい」

そんな方には、
ビデオチャットでお話をお聴きしています。

電話よりもしっかり時間を取り、
今感じていることや、これまでの人間関係を一緒に整理していきます。

うまく説明できなくても大丈夫です。

話しながら、

「私は本当はどうしたかったんだろう」
「何が怖くて言えなかったんだろう」

と、一つずつ確認していきましょう。

▶ ビデオチャットでじっくり話してみる

人間関係の不安・職場の悩みを30分で整理します 上司が怖い・仕事が辛い・人の顔色・自分責め|心の整理シート付

\ 最新情報をチェック /